日曜早朝の「中央線(下り)」は、新宿あたりで乗車してきた朝帰りの若者で溢れている。この酒臭く不健康な空間は、せっかくの休日の始まりには似合わないといつも辟易する。それでも高円寺、三鷹、国分寺と人が減っていくにつれ、霧が晴れていくように、萎えていた旅心も回復してくる。

 そして、立川で青梅線に乗り換える頃にやっとハイキング中高年の天下に。さて朝飯にしよう。ベンチシートにコンビニおにぎりはちょっと味気ないが、青梅を過ぎたあたりから眼下に多摩川の渓谷、「ここが東京!」と思うほどの山間部の車窓風景に心が躍る。
 こうして2時間半、ようやく辿り着いた快晴の奥多摩駅。日が長い夏の日、時間はたっぷりある。今日は花にしようか、列車にしようか‥。